人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「新しい人生のはじめかた」

 

 

 作品情報 

 

   原題    Last Chance Hervey
   監督    ジョエル・ホプキンス
   脚本    ジョエル・ホプキンス
   出演者   ダスティン・ホフマン
          エマ・トンプソン
          リアーヌ・バラバン
          キャシー・ベイカ
   公開     2010年2月6日
   上映時間  128分
   製作国   アメリ

 

 あらすじ 

 

アカデミー賞俳優のダスティン・ホフマンエマ・トンプソン共演による恋愛ドラマ。バツイチのCM作曲家ハーベイ(ホフマン)は娘の結婚式のため、ニューヨークから遠路はるばるロンドンに来たが、娘からはバージンロードを歩くことを断られ、トラブルで仕事はクビになるなど散々な目に遭う。そんな中、ハーベイは空港のバーで一人で飲んでいた中年女性ケイト(トンプソン)と出会う。

 

 感想 

 

例えば、誰か数人と食事をしたとき。

 

なぜか自分だけ、話の蚊帳の外で、

黙って他の人の話を聞かなければならない状況に追い込まれ、

その場を離れることもできず、

まるで透明人間になってしまったかのような気分になる。

 

例えば、気づいてしまったとき。

 

自分の大切な人が、実はそれ程、

自分のことを大切だと思っていなかったことに。

 

 

仕事は、それなりに一生懸命にこなしてきた。

 

善良な市民で、お金持ちではないけれど、そこそこ幸せ。

 

ただ、生きるのが「不器用」なまま大人になってしまった人たち。

 

そんな普通な人たちへの応援賛歌のような愛しい作品。

 

 

いつの間にか腰回りにお肉が付き、

髪はすっかり白くなり、

人として円熟した人生の秋を迎えても、

 

透明人間になってしまって涙を流したり、

ひとり、ホテルの部屋で惨めな気分に途方にくれたりする、

 

そんな愛すべき大人たちに共感し、

どこか自分にも当てはまる気がする人は多いだろうと思う。

 

 

人生は100年の時代が来た。

 

いつまでも、みじめな気分に浸って、

人生を諦めたくはない。

 

新しい人生は、チャンスを掴む勇気さえあれば、

いつでも、何歳でも始められる。

 

不器用に生きている愛すべき大人たちの、

背中をちょっと押してくれる、そんな素敵な映画だった。

 

 

 

このとき、ダスティン・ホフマンは御年、70歳。

エマ・トンプソンは50歳。