「ある日どこかで」
作品情報
原題 Somewhere in Time
監督 ヤノット・シュワルツ
脚本 リチャード・マシスン
出演者 クリストファー・リーヴ
ジェーン・シーモア
クリストファー・プラマー
ビル・アーウィン
公開 1981年1月31日
上映時間 103分
製作国 アメリカ
あらすじ
現在の生活を捨ててでも、真の愛と幸せが待つ過去の世界に行こうとした若き劇作家の物語。ある日、青年リチャード・コリアー(クリストファー・リーブ)の元に老婦人が現れ、古い金時計を手渡すと"帰ってきて"という言葉を残して去っていった。数年後、リチャードは美しい女性(ジェーン・シーモア)の肖像画に目を奪われるが、彼女の数年後の写真から、かつて金時計を渡してきた老婦人の若き日の姿だと気づく。
感想
宇宙へ旅行へ行くことができ、
何億キロも離れた惑星にも、
手が届く時代がやってきた。
いつかは、ドラえもんのタイムマシーンのように、
「一家に一台、タイムマシーン」があり、
簡単に時間旅行ができる時代が来るかもしれない。
あるいは、特殊な能力の持ち主がいて、
いま現在も、この世のどこかに時間旅行を楽しむ人物が
いるかも?なんて考えると胸が躍る。
時々、そういう類の怪しげなニュースを
見かけたりすると、
なんだか楽しい気分になる。
(ロシアの大統領プーチンがタイムトラベラーなのでは?
というのは有名な話。)
もしも、私の隣に立つこの人が、
タイムトラベラーだったら?
もしもタイムトラベラーと恋に落ちたら?
主人公は1980年から、1912年に時間旅行をするわけだが、
1912年は、日本史で言えば明治から大正に変わりつつある時代。
まさに日本は、文明開化を謳歌していた時代だろうか。
もしも日本にタイムトラベルしたなら、
出来るわけだ。
そんなことを想像するのは本当に楽しい。
日本が大正時代の幕開けを告げるころ、
女性の存在感が大きくなりつつある時代だった。
ヒロインの舞台女優を演じたジェーン・シーモアは
その頃のファッション、アールヌーボーのデレスに身を包み、
女性が見てもうっとりする程の美しさだ。
(ジェーン・シーモアは、茶色とグリーンのオッドアイだそうだが、
古い映画のせいか、あまり良くわからなかった。)
主人公が一目で恋に落ちるのも頷ける。
そして、クリストファー・リーヴがまた、素敵なのだ。
スーパーマンのイメージが強すぎるが、
高身長で、端正なマスクは正統派のイケメン。
すでに、52歳という若さで他界してしまっているのが、
なんとも悔やまれる。
タイムトラベルの物語は、
どんなに良くできた話でも、
どこかに疑問が残るものだ。
しかし、そんな些細なことはどうでもよくなるくらいに
二人が美しい。
特に初めてキスするシーンのなんと官能的なことか。
クリストファー・リーヴの彼女の唇を見つめる瞳、
優しく、頬を撫でるしぐさ。
拒みながらも、瞳を閉じるジェーン・シーモアに、
(私は女でしょ?)と心の中で苦笑しながらも、
ドキドキがとまらない。
こんなキスをされたら、
誰だって、もう、後戻りできなくなるでしょう?!
人を愛するということ。
「愛」を語るのは、難しい。
どれが正しい「愛」で、どれが正しくない「愛」かなんて
誰にも、わからない。
本当の「愛」の、『本当』って?
ひとの心は目には見えない。
長い時間を一緒に過ごし育む「愛」もあるし、
短い時間でも凝縮された「愛」が育まれる場合もある。
たとえ短い時間でも、濃密な時間を共に過ごし、
お互いを欲した二人の愛。
タイムトラベルという、非現実的な世界を
ラフマニノフのラプソディーが優しく包み込む。
珠玉のラブストーリー。
ちなみにこの映画は、
「午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本」に選ばれている。