人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「アデライン、100年目の恋」

誰もが一度手にすることが出来るが、失ったら絶対に戻ってこない、

お金では買えないもの。

 

 

  作品情報 

   

   原題    The Age of Adaline

   監督    リー・トランド・クリーガー
   脚本    J・ミルズ・グッドロー

         サルヴァドール・パスコウィッツ
   出演者      ブレイク・ライヴリー
         ミキール・ハースマン
         ハリソン・フォード
         エレン・バースティン
   公開    2015年10月17日
   上映時間  112分
   製作国   アメリ

 

  あらすじ  

 

奇跡的な出来事がきっかけで年を取らなくなってしまったアデライン・ボウマン。100歳を超えているのに29歳の姿のままの彼女の心の支えは、愛犬と、老いた一人娘フレミングだけ。偽名を使い、住む場所を変え、友人も作らず孤独に時を過ごしている。そんなアデラインの前にカリスマ的な魅力を持つ青年エリスが現れる。エリスにどんどん惹かれていくアデラインだが、二人の間に秘密と過去の恋が立ちふさがり・・。 あらがうことのできない運命に流されて生きたアデラインが100年のときを経て見つけたものは?見る人のハートを揺さぶる、現代版ラブファンタジー

                          アマゾンプライムより 

   感想  

 

誰もが一度手にすることが出来るが、
失ったら絶対に戻ってこない、
お金では買えないもの。
 
それは…「若さ」
 
主人公のアデラインは29歳という
若く、健康で、美しい容姿のまま、
歳をとることができない体になってしまった。
 
「不老不死」

そんな薬が開発されたら、
誰もが欲しいと思うだろう。
 
しかし、そのタイミングは非常に重要。

子供時代、あるいは、年老いてから
「不老不死」の体を手に入れたとして、
人生を謳歌できるだろうか。
 
謳歌するどころか、つらいだけかもしれない。
 
長い人生の一瞬、通り過ぎる
花が咲き乱れる美しい瞬間だから成立する
美しきファンタジー
 
 
花の命は短い、
それが世の常というもの。
 
その輝く一瞬。

体力があり、知性と美貌があり、若さがある。
 
その若さが一瞬ではなく永遠なら…

「向かうところ敵なし」
というところだろうか。
 
私なら、お金を稼ぎ、行きたいところへ行き、
食べたいものを食べ、世の移り変わりを眺め、
文明の進化を思う存分、享受したい。
 
時間はたっぷりあるのだから。
 
しかし、
アデラインは新年の抱負は?の質問に
こう答える。
 
「死ぬ気で生きること。」
 
 
「生」の裏側には、
必ず「死」がつきまとう。
 
この世を去っていく人々を
沢山、見送ってきたからなのか、
 
特殊な運命の為、
いつ突然、終わりがきても
おかしくないと思っているのか、
 
世間の常識から、
逃亡し続けなければならない
息のつけない生活だからか、
 
その全部か。
 
 
「不老不死」の体を手に入れることは、
思ったより、大変で、つらいことなのかもしれない。
 
 
宇宙の歴史を考えるとき、
この広い宇宙の中の、
広い地球の中の
たった一瞬の時代を一緒に生きるということは
奇跡に近い幸運だと思う。
 
同じ時代を生きるからこそ、
恋もでき、愛することもできる。
 
同じように老いていく人々がいるからこそ、
これから向かう未知の世界、
「死」への恐怖も和らぐというものだ。
 
 
この地球のどこかでは、
何十年後かに生き返る予定で、
冷凍されている人々もいる。
 
人類は、永遠の若さを渇望しているが、
 
永遠の若さのその先に、
 
必ず幸せが待っている、
とは、限らないのかもしれない。