人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「ビューティー・インサイド」

 

  作品情報 

 

原題   The Beauty Inside

監督   ペク

出演   ハン・ヒョジュ

     パク・ソジュン

     上野樹里

     イ・ジヌク

公開   2016年1月22日

時間   127分

制作   韓国

 

   あらすじ  

 

家具デザイナーのウジンは、18歳の時から目覚めると心以外、姿、性別、国籍等の全てが変わる病気になってしまった。男、女、子ども、老人、外国人。人に会うことなくインターネットを通して仕事をする毎日。ある日、家具屋で働く美しいイスに出会い、恋に落ちてしまう。彼女に会うための“ルックス”になる日を待って、デートに誘い、三日三晩寝ることなく、ふたりでロマンティックな時を過ごすが・・・。      

                                アマゾンプライムより

 

    感想   

 

嵐の歌に「モンスター」という曲がある。

 

「僕の記憶が全て消えても 生まれ変わったら また君を探す

見かけじゃなくて 心を抱いて」

 

という歌詞を聴くと、いつもグッときてしまい、

時々ちょっと、涙が出たりもする…

 

 

東洋思想や仏教には、輪廻転生という概念があり、

死んで、あの世に行った魂が、この世に何度も生まれ変わることを言う。

 

チベット仏教の象徴「ダライ・ラマ」が亡くなると、ダライ・ラマの化身である

次のダライ・ラマを探しに行くが、これも輪廻転生の概念からきている。

 

死んだことがないから、わからないが、

私も、きっとあるのではないかと思っている。

 

 

この映画の主人公ウジンは、輪廻転生のように毎日生まれ変わる。

 

記憶はそのままだが、眠りから覚めると、見た目が全くの別人になる。

 

性別も、年齢も、人種も違う。

ありとあらゆる人々になる。

 

心は、そのままで。

 

 

そんな彼を愛してくれる女性が、美しい女性イス。

 

彼女は優しく、美しい。

 

そして、誰に対しても、態度が変わらない。

 

この、誰に対しても態度が変わらない人を見つけるのは、

至難の業だ。

 

相対する人の肩書や、見た目や、感じ取った雰囲気で、

私たちは気づかぬうちにに態度を変えている。

自分は、そうは思わなくても。

 

中には、変わりすぎ!という人もいるが(笑)。

 

人を見極めるのは、本当に難しい、と、この歳になっても思う。

 

 

「人は見た目が大事」という意見も、

「人は外見じゃない」という意見も、

両方、当たっていて、見極めるための基準はきっとない。

 

 

どんな姿であろうと、ウジンを愛するイスは、

見た目ではなく、ウジンの「心を抱きしめる」。

 

どんなに愛する人でも、

見た目が全く変わって、人種も性別も変わっていたら、

同じような態度がとれるだろうか…

 

イスは、ある意味、菩薩のような広い心の持ち主で、

人格者で、輪廻転生を何度も繰り返した

気高い魂の持ち主なんじゃないかとさえ思う。

 

毎日生まれ変わるウジンも大変だが、

きっと、イスの方が、何倍も辛いだろう。

 

 

究極の愛の形の一つではないだろうか。

 

 

人は、恋をして、愛を知る。

 

イスのように、

「心を抱きしめる」ような愛し方をされている人がいたら、

本当に、幸せ者だと思う。