人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「コーヒー&シガレッツ」

 
  作品情報 

 

   監督    ジム・ジャームッシュ
   脚本    ジム・ジャームッシュ
   出演者     ロベルト・ベニーニ
         スティーヴ・ブシェミ
         イギー・ポップ
         ビル・マーレイ
   公開     2005年4月2日
   上映時間     97分
   製作国   アメリカ・イタリア・日本

 

  あらすじ 

 

ジム・ジャームッシュ監督による、コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら、様々な登場人物たちがどうでも良さそうで、良くない、でもひとくせある会話を繰りひろげていく11本のショート・ストーリー。それぞれ、登場人物や撮影された時期・場所は異なっているものの、「ナイト・オン・ザ・プラネット」などで試みられた、各エピソードを連結するジャームッシュ独特の「仕掛け」が随所に見受けられる。出演はロベルト・ベニーニケイト・ブランシェットイギー・ポップトム・ウェイツなど。

 

  感想   

 

ここの所コーヒーからは遠ざかっていた私だったが、
この映画を観終わってすぐに、
温かく、苦い、コーヒーを淹れてひとりで飲んだ。
 
3杯も。
 
タバコを吸う人は直ぐに吸いたくなるだろうし、
禁煙中の人は絶対に禁煙に失敗するだろう。
 
この映画は、そう言う映画だ。
 
 
向かい合った男と女、男と男、女と女がコーヒーを飲み、
たばこを吸いながら、他愛の無い会話を繰り返す。

ただそれだけだ。
 
ただそれだけの映画なのに、
どんどんと引き込まれていくのは何故だろう。
 
チェッカー版のようなテーブルに浮かび上がる、
丸いシルエットのコーヒーカップ

何度も真上からのアングルで映し出されるテーブルは、
そこにコーヒーの香ばしい香りと、
白いタバコの煙、様々な会話がある事を感じさせてくれる。
 
白黒の映像は、白い煙と漆黒のコーヒーを際立たせ、
会話の温度をフラットにして、観ている者をリラックスさせる。
 
私は心地よい気分に浸りながら、
劇中の人物が飲んでいるコーヒーに思いを馳せる。
 
やっぱりアメリカンかな、ブレンド?酸味が強い豆かな、苦味が強い?
砂糖は何杯入れたのかな?これで何杯目なんだろう?
 
私はどちらかと言えばアメリカンが好きだ。
いつも大体ブラックで飲むし、
煙草は吸わない私にとってコーヒーのお供は専らチョコレート。
甘いものを食べて、コーヒーをガブガブ飲みたいからだ。
 
そう言えば、「バグダッド・カフェ」のジャスミンは、
うすいアメリカンを「これはコーヒーじゃない」って言ってたな。
 
人にはそれぞれ好みがあって、
コーヒーの好み、飲み方も人それぞれ。

砂糖はいくつって決めてる人、
最初は絶対にブラックで2杯目はミルクをたっぷりの人。
食事の後はエスプレッソって人も、
やっぱり挽きたての豆を使わないとって人も。 
 
それぞれの飲み方で味わう、
心を癒す一杯。
 
 
他愛も無い会話を交わしながら、
或いは一人で煙草をふかしながら、

一番リラックスした態勢で、
コーヒーをかき混ぜる。
コーヒーを啜る。
 
 
なみなみと注いだコーヒーが受け皿にこぼれたって、気にしない。

コーヒーサーバーから直に飲んだっていいじゃない。

紙コップのコーヒーだって、最高。
 
 
「まずいコーヒーだな」
 
そう言って、コーヒーカップで乾杯しよう。