人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」

 
作品情報
 
    原題    My Big Fat Greek Wedding
    監督    ジョエル・ズウィック
    脚本    ニア・ヴァルダロス
    出演者      ニア・ヴァルダロス
          ジョン・コーベット
          レイニー・カザン
          マイケル・コンスタンティン
   公開     2003年7月19日
   上映時間      95分95
   製作国    カナダ・アメリ
 
あらすじ
 
口コミから大ヒットを記録! 実話を基に描く、ハッピー・ラブ・コメディ。
ギリシャアメリカ人の女性がハンサムな男性と恋に落ち、伝統を重んじる家族を巻き込んで結婚するまでの道のりを描く物語。トム・ハンクスが製作に関わり、低予算の映画ながら、面白さがクチコミで広がり、全米で大ヒットを記録した伝説的作品です。映画のヒットを受けて、ドラマも製作されています。
 
感想
 
「ねえちゃん、
 生い立ちはな、
 人生を縛るもんじゃない。
 今後の糧とするもんだ。」
 

世界には、多種多様な国があり、
人種があり、習慣がある。
 
映画は、それを映像として見せてくれるから本当に面白い
 
 
この映画の主人公トゥーラの家族は、
ギリシャアメリカ人だ。
 
親戚は何かというと集まり、
騒々しく話し、飲み、歌い、踊る。
 
誰かれ構わず、ツバを吐きかけて、
邪気払いをする。
 
父親は、どんな言葉の語源も
ギリシャ語だと言って、
ギリシャ人であることに
誇りを持って生きている。
 
小さなころは、
ピアノを習う代わりにギリシャ語を習わされ、
30歳になった今は、
ギリシャ人の男性と結婚することが、
何よりの幸せだと、教えられている。
 
 
そんな彼女が選んだ男性は、
ギリシャ系ではなくドイツ系だったから、
さあ大変!!

騒々しくて、ときにウルサイと感じてしまうほどに
パワーに溢れた彼女の家族と、
静かに落ち着いた雰囲気の
彼の家族の対比がとてつもなく面白い。

家族って、本当に、一つの小さなコミュニティーで、
一つとして同じものはないんだなぁと改めて納得。
 

全く違う色の世界で育った二人が、
また違った色の世界を作るのが結婚。

「どこの家族もみんな変さ。そうだろ?」
 
彼は大人で、カッコいい。

彼のような人となら、きっと素敵な色の家庭が作れるだろう。
 
しかし、なかなか上手くいかないもどかしさに
落ち込むトゥーラ。
そんな彼女に弟は声を掛ける。

「ねえちゃん、
 生い立ちはな、
 人生を縛るもんじゃない。
 今後の糧とするもんだ。」
 
どんな土地で、どんな家族の中で、どんな習慣で育ったにせよ、
今があるのは、今までの人生のおかげ。
 
良きにしろ、悪しきにしろ、
今まで、自分に関わってくれた、全ての人のお陰だ。
 
 
そう、人生は続いている。
 

自分たちの故郷に
人一倍の誇りと愛を注ぐ彼女の家族や親戚だが、
 
戸惑いながらも、彼や彼の家族を受け入れ、
知らぬ間に彼らを自分たちのペースに
引き込んでいるのはスゴイ!
 
 
それは、彼らがトゥーラの選んだ彼を、
愛を持って受け入れたからだと思う。
 

団結力や、愛国心も非常に強いが、
実は、誰でも受け入れて楽しくやろう!という、
開かれた精神が、きっと根底にあるのだろう。
 
「オッパー!」

そう叫んで、
ひたすら、食べて、飲んで、踊る彼らの一団に、
私も知らぬ間に参加していたラストだった。