人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「ショコラ」

~人生は変えられるわ~
 
 
  作品情報 
 
   原題    Chocolat
   監督    ラッセ・ハルストレム
   脚本    ロバート・ネルソン・ジェイコブス
   出演者      ジュリエット・ビノシュ
          ジョニー・デップ
          ヴィクトワール・ティヴィソル
          ジュディ・デンチ
   公開     2001年5月28日
   上映時間      121分
   製作国    アメリカ・イギリス
 
  あらすじ 
 
名作『サイダーハウス・ルール』の監督が贈る、美しい魅惑のコメディ。のどかなフランスの田舎町に魅力的なヴィアンヌ(ビノシュ)がやって来て、思いもよらない影響を及ぼす。ヴィアンヌはとても変わったチョコレート・ショップを開き、彼女が作るおいしそうなお菓子の魔法にかけられたように、厳格な住民たちは誘惑と幸福に溺れてゆく。しかし、もうひとりのよそ者、ハンサムなルーが町へやって来たことで、ヴィアンヌはついに自分の欲望に気づく。      アマゾンプライムより

  感想   
 
大好きなラッセ・ハルストレム監督の作品。
 
人間に対する温かい眼差しと
優しさを持って作り上げる、
彼の作風が大好きだ。
 

特にこの「ショコラ」の中には、
私の大好きなものが、
まるで宝石箱のように散りばめられていて、
否が応でも好きにならずにいられない一作品。

・チョコレート
ジョニー・デップ
・掃除シーン
・「ポネット」のヴィクトワール・ティヴィソル
・大人の恋
・ジュリット・ビノシュの衣装
・旅
etc
 
  
まず、
デコルテ全開で、
ウェストをキュッと絞った衣装の
ジュリエット・ビノシュのなんと色っぽいことか。
 
どうみても二の腕なんか、
中年のそれなのだけれど、
白い肌や、髪をかき上げる仕草や、
年齢を重ねた女性だからこその、
丁度いい感じにこけた頬で笑う笑顔。

若さは最強だけれど、
大人にしか出せない色気って、あるのですよ。。ホホ。。
と、自分のことはさて置き、
嬉しくなってしまう美しさ、なのである。
 
 
街から街を彷徨う彼女と、
旅を続けるジプシー役のジョニー・デップとの
大人の恋もまた素敵。
 
それにしても、ジョニー・デップは、
何をやっても様になりますよねぇ!
(いちばん好きなのは、「エド・ウッド」と
「スリーピー・ホロー」の彼だけど。)
 
束縛も未来の約束もない、
お互いが自立した大人の恋は、
ビターチョコレートのように、
甘くもあり、ほろ苦くもあり。。
 
 
そしてなんと言っても、
あの「ポネット」の
ヴィクトワール・ティヴィソルちゃんが
大きくなって出演している姿は必見。
 
あの小さくて、可愛い
4歳のころの面影もそのままに。。。
 
夫からDVを受け、
自らも心を病んでしまった女性。
 
娘との確執から、
孫にもなかなかゆっくり会えず、
一人で暮らす老婆。
 
古いしきたりに固執し、
宗教を盾に、
異質なものは受け入れないという
頑なな姿勢を貫く町長。
 

「人生を楽しまなきゃ」
 

甘いチョコレートと共に
風に乗ってやってきた彼女は、
そう言って、最高の笑顔で笑う。
 
 
 
変えられない環境など、
そうあるものではない。
 

自分を、身動きが出来ぬ程
がんじがらめにしているのは、
実は自分自身の思い込みや、
諦めでしかない場合が多い。
 

チョコレートを一粒、
口の中に入れた時感じる、
あの幸福感。やすらぎ。
 

「あなたの好きな味を当てて見せるわ」

チョコレートがゆっくりと口の中で溶けていくように、
人々の強張っていた顔や心も、
次第にほぐれていく。
 

一陣の風と共に、
新しい風を運んできた彼女のように、
 
私にも、
いつでも自由に大空を羽ばたける

心に翼があることを、
忘れずに生きて行こう。
 
 
この映画を観ると、いつも、
そんなことを思うのだ。