人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「マリッジ・ストーリー」

 

 

  作品情報 

   原題    Marriage Story
   監督    ノア・バームバック
   脚本    ノア・バームバック
   出演者   スカーレット・ヨハンソン
          アダム・ドライバー
          ローラ・ダーン
          レイ・リオッタ
   公開     2019年11月29日
   上映時間  136分
   製作国   アメリ

 

  あらすじ 

イカとクジラ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」のノア・バームバック監督が、スカーレット・ヨハンソンアダム・ドライバーを主演に迎えて描いたNetflixオリジナル映画。女優のニコールと夫で舞台演出家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。ニコール役をヨハンソン、チャーリー役をドライバーが演じるほか、ローラ・ダーンアラン・アルダレイ・リオッタらベテラン実力派俳優が共演。2019年・第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。Netflixで2019年12月6日から配信。日本では配信に先立つ11月29日から、一部劇場にて公開。              映画.comより

 

  感想   

 

ほんの小さな

よく目を凝らして見つめないと

わからないような亀裂が、

大きなダムを決壊させてしまうように、

 

傷に気づいたら、

すぐにしっかり修復しておかないと

知らず知らずに亀裂は大きくなり、

 

気づいた時には

すでに修復不可能な大きさにまで

広がっている。

 

 

結婚生活とは、

ダムの壁のように頑丈そうに見えて

実は脆いものかもしれない。

 

それは

簡単なようで実に難しく

繊細なことでもある。

 

 

深く考えようとすれば、

生物学や、制度や、歴史や、環境や

いろんな観点から語ることができ、

 

人々は

いろんな理由で

結婚して、離婚する。

 

誰かと一緒に暮らすことの

難しさ、大変さは

小さなこと大きなことも含めて

誰もが感じるところだろう。

 

自分の事すらよくわからないのに

全くの赤の他人と生活するのだから、

 

いくら好きでも

我慢しなければならないことは

結構あるものだ。

 

それは、お互いに。

 

だって、違う環境で育ってきたし、

私はあなたではないし、

あなたも私ではないから。

 

それでも運よく

人生の最後まで

一緒にいられる二人もいるし、

そうでない二人もいる。

 

どちらが良いとか悪いとかではなく、

それはそれで仕方のないことだが、

 

ただ、一つ確かなことは、

 

どちらにせよ夫婦二人にしか

結婚生活は

どうすることもできないということだ。

 

 

愛し合っていた頃は

お互いの良いところしか

目に入らなかった。

 

この人の為なら

なんでもしてあげたいと思った。

(人もいるだろう…)

 

でも、人は環境に慣れていく。

 

環境に慣れて、

次第に不満が多くなり

わがままが増えていく。

 

過去も自分が思いたいように

脳内変換されていく。

 

人間とは、なんと自己中心的な

生き物だろう。

 

 

この映画「マリッジ・ストーリー」は

一組の夫婦の離婚調停を

詳しく描いている。

 

最初は、円満に解決できると

思っていた二人。

 

でも、離婚って

そんなに簡単なことではないのだ。

 

相手を傷つけたくないと思っていても、

心の中をさらけ出せば

一瞬で二人の関係は違うものになっていく。

 

自分も、そして相手も

深く傷つける。

 

思い切り泣いて

罵りあって

大声でわめいて、

 

そして、やっと、気づくのだ。

 

結婚生活の素晴らしさを。

 

今までの生活が

奇跡のような幸せだったということに。

 

 

 

 

スカーレット・ヨハンソンアダム・ドライバーの演技は

素晴らしいの一言。

 

何度も、泣いてしまった…