人生の《処方箋的》映画考

この「ままならない人生」を歩むとき、一つの映画がそっと、背中を押してくれる時もあれば、優しく寄り添ってくれるときもあります。 心を癒し、また、鼓舞してくれる映画を中心に、感想を綴っています。

「初恋のきた道」

 

  作品情報 

 
   原題    我的父親母親
   監督    チャン・イーモウ
   脚本    パオ・シー
   出演者   チャン・ツィイー
          スン・ホンレイ
          チョン・ハオ
          チャオ・ユエリン
   公開     2000年12月2日
   上映時間  89分
   製作国   中国・アメリカ合作
 
  あらすじ 
 
都会で働くビジネスマン、ユーシェンは父の訃報を聞き、数年ぶりに故郷の村へ帰ってきた。年老いた母は、今では行われなくなった古いしきたり通りの葬儀をすると言って周りの人を困らせている。そんな母の頑固な様子を見て、ユーシェンは村の語りぐさとなっている父と母の恋物語を思い出していた。都会からやってきた若い教師と、彼に恋した文盲の少女。手作りの料理に込めた彼女の恋心はやがて彼の元へと届くのだが……。                       映画.comより
 
   感想  
 
都会からやってきた
若い教師チャンユーに
想いを寄せる18歳の少女デイ。
 
校舎を建てる男たちの為に、
毎日村人たちが昼飯を作るなか、
彼女は恋する想いを手料理に込め、
ひたすら弁当作りに精を出す。
 
大自然の中で、
初めて「恋」を知った少女の
切なくもキラキラと輝く時間が美しい。
 
 
チャン・ツィーの愛くるしさが、
恋する少女の清らかな情熱を引き立て、
観ている私たちの胸を熱く切なくさせる。
 
彼の為に料理をするデイを見るとき
 
「心を込める」ことの大切さを
忘れていた自分に気づく。
 
彼がくれた髪留めを落としてしまい、
必死で森の中を捜しまわるデイを見るとき

人を好きになることの、
心を締め付けるような
幸せな痛みを想う。
 

誰もがきっと心の奥に抱きしめている
甘く光り輝く日々。
 
 
この映画を見ると、
そんな日々の記憶が、鮮やかに蘇る。